鉄骨を加工するにあたって様々な工程があります。
その中で一番最初に行う工程の一次加工を解説していきます。
一次加(いちじかこう)とは
鉄骨というのは鋼材を切断し、溶接して建物に合わせて製作を行っていきます。
材種によっては様々な長さの母材から切り出しを行っていかなければなりません。
鋼材の定尺母材というのは6m~12mくらいのものが鋼材店に在庫しています。
その母材を切断して溶接できるまでにするのが一次加工なのです。
様々な材種の一次加工
- コラムBCR、BCP
- H形鋼
- 切板
- 丸パイプSTK
- C形鋼、角パイプ
コラムBCR
コラムBCR、BCPは柱の主材となるものです。
切断、開先までを行うのが一次加工範囲です。
H形鋼
H形鋼は梁に使用し様々な加工が施されます。
切断、開先、スカラップ、摩擦面処理まで行うのが一次加工範囲です。
切板
切板はベースプレート、ダイヤフラム(内ダイヤ)、ガセットプレート、スプライスプレートなど様々な種類の鉄板を加工します。
一枚の大きな母材の鉄板からレーザーやガスなどの切板専用の機械にセットして寸法通りに切断していき納品するまでが一次加工範囲です。
丸パイプSTK
丸パイプも切断、開先までを一次加工範囲です。
C形鋼、角パイプ
C形鋼、角パイプは胴縁に使用する部材で、切断、孔開けを行いネコ付けを出来る状態にするのが一次加工範囲です。
一次加工を行う場所
鉄骨材料の加工というのは通常鉄工所で行うのが当たり前でした。
しかし近年は鋼材店が切断機、孔開け機、開先、スカラップ加工機、などを導入して一次加工を行うケースが増え始めました。
これは様々な時代背景による様々な原因が存在します。
- 人員の不足
- 機械の老朽化
- 工場スペースの問題
- 物件の効率化
人員の不足
鉄工所のお仕事というのは季節に左右されやすく、危険が伴います。
工場に加工機を導入していても溶接作業に手を取られて一次加工まで人員を確保できないといったケースがあります。
機械の老朽化
切断、孔開けを行うにあたって20年前~30年前の機械がありそのスピードは遅く加工効率としてはあまり良くありません。
機械を新しく購入するにも数千万単位の設備投資を必要する為、頻繁に買い換えることは出来ないのです。
工場スペースの問題
鉄骨というのは一次加工を行う前の母材や加工を行って出荷待ちになっている鋼材などなど置き場にとても広いスペースが必要になります。
グレードの高い鉄工所であれば工場も広く、全ての加工を自社で行うことが出来ますが全ての鉄工所がそうではありません。
物件の建方などがズレてしまい出荷できない状態なども頻繁にあり、置き場の問題が発生してしまうのです。
物件加工の効率化
人員の問題や工場スペースの問題が生じると鉄工所は物件を効率良く回していかないといけません。
図面さえ決まっていれば鋼材店に一次加工を頼んでいる間に前の物件を加工、出荷すればいいので工場が空くことも少なくなります。
まとめ
一昔前は母材さえ納入してしまえば全て鉄工所が加工を行っていましたが、人員不足や機械の老朽化によって鉄工所に一次加工機を置かない鉄工所も見受けられるようになってきました。
時代背景とともに専門的に加工する業者が増え、加工内容も細分化され始めています。
Mグレード以下の鉄工所は一次加工を外注する会社がほとんどになってきています。
一次加工の範囲をある程度把握し、鉄工所で出来る部分をしっかり見極めて発注などを行うようにしましょう。
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