建築工事に関わらずプラントや設備などの鋼材には緩やかな曲げ加工が行われて施工されている部分があります。
通常であれば切断や溶接を行い直線のままで納品することが多いですが建物の意匠性や利便性から曲げを行い納品しなければならない部位も多々存在します。
曲げと一言で言ってもベンダー曲げやアール曲げといった言葉で呼ぶ加工があります。
今回は形鋼のR曲げを解説していきます。
R(アール)曲げとは
この半径を英語で表した場合の頭文字を取ってそのままアール曲げといった言葉でやり取りされます。
鋼材を滑らかなカーブで曲げる加工のことをいいます。
この半径を1000Rや1500Rといった表記を行い曲げ加工を行います。
ベンダー曲げとR曲げの違い
項目 | ベンダー曲げ | R曲げ |
曲げ方法 | プレス機で押し曲げる | ベンディングローラーで緩やかに曲げる |
曲げ半径 | 小さい | 大きく滑らか |
外観 | 角ばっている | 丸みがある |
用途 | 金属部品、補強板 | 意匠材、配管、手摺 |
加工機械 | プレス曲げ機 | ロールベンダー、3本ロールなど |
形鋼を曲げる場合には様々な方向がある
丸パイプなどを曲げる場合にはどのような方向で曲げたとしても形鋼の向きは変わりません。
手書きの加工依頼図や図面などでもしっかり確認できるように曲げ業者に依頼しましょう。
曲げ加工にはつかみ代(つかみしろ)が必要
R曲げは機械になんども通して鋼材を曲げていきます。
この機械に通す際にはつかみ代と呼ばれる端部が必要となります。
実際に使用する曲げてあるを部分を有効長(ゆうこうちょう)と呼び、それとは別に掴み代は真っ直ぐな部分になる為、曲げた後に切断して使用しなければなりません。
R曲げの建築物はコストがかかる
R曲げ加工品は沢山使われている建築物というのは金額がどうしても跳ね上がってしまいます。
通常鉄工所へ材料を搬入して加工を行いますが曲げ加工の1手間を加える必要がある為、通常の加工賃よりも跳ね上がってしまいます。
しかも数量が多くても鋼材が曲がっている為運送の積載効率も悪い為運送コストも加工賃に乗っかってきます。
バブル期などには建築コストが潤沢にあった為、オシャレな建物にしたいとアーチ型の屋根を沢山作っていたという歴史もあります。
現在はトラス式などの構造で作られることが多いですがひと昔前は見た目ではわからないがH鋼の梁が曲がっている構造にしたり、見える部分には曲げ加工をふんだんに使い装飾していたと聞きます。
バブル崩壊後には要所で曲げ加工を使い本当に必要な部分のみ使用するといった時代背景になったようです。