鉄骨工事のファブリケーターとは

鉄骨工事のファブリケーターとは鉄骨工事を請負って実際に加工する業者のことをいいます。

fabricator=組み立てる人。製造業者。加工業者

直訳するとこのような意味になり設計図を元に施工図面作成⇒製作⇒建方までを請負って実際に建物を建てていいく会社になります。

鉄骨工事では「ファブ」や「ファブさん」などさん付けで呼ばれることもあります。

建設会社との会話の中で山積み(やまづみ)といった言葉も出てきます。

これは年間スケジュールの中で仕事の請負状況のことを指します。

鉄工所というのは仕事を会社の能力以上請け負ってしまうと工場規模や工期などに支障を起こしてしまい全て請け負うことが不可能なのです。

見積りをした案件だったとしても先に仕事が入ってしまえば断らざる負えない状況になってしまうのです。

ファブリケーターの山積み状況を確認して製作が間に合うのか?などをしっかり確認しておくことが必要になります。

目次

ファブリケーターにはグレードがある

鉄骨工事を請け負う際に構造図の仕様書の図面には【認定または登録工場にJ、R、M、H、S】の記載がありこのいずれかに丸やチェックマークが記載されています。

これは認定を受けてそのグレードに合格をした工場でないと制作をしてはいけないといった記載です

Mに丸が付いていた場合にはJグレードやRグレードでの制作は出来ませんがHグレードやSグレードでは制作ができます。

この記載にはMグレード以上という意味がこめられています。

ファブリケーターのグレードとは

ファブリケーターのグレードは工場規模を表す資格です。

  • ノングレード
  • Jグレード(じぇいぐれーど):Junior(ジュニア)
  • Mグレード(えむぐれーど):Middle(ミドル)
  • Hグレード(えっちぐれーど):High(ハイ)
  • Sグレード(えすぐれーど):Super(スーパー)

ノングレード

これはグレードの資格を持たない工場です。

家族で工場を営んでいたり、グレードを持っている鉄工所の下請け業者などはグレードを取得しないで仕事をしている会社です。

Jグレード

Jグレードはノングレードよりは資格がありますがノングレードとあまり変わりません。

なぜなら今まで見てきた図面の中にJグレード以上の表記は見たことが無いからです。

Jグレードで出来る工場はノングレードでも対応できることが多いです。

1.鉄骨溶接構造の3階以下の建築物(延べ床面積500㎡以内、高さ13m以下かつ軒高10m以下)とする。

2.400N級炭素鋼で板厚16mm以下の鋼材とする。ただし、通しダイアフラム(開先なし)の板厚は400N及び490N級炭素鋼で22mm以下とし、ベースプレートの板厚は「別記1 ベースプレートの板厚及びGコラムパネル厚肉部の板厚」による。

3.作業条件は原則として下向姿勢とし、溶接技能者の資格はSA-2F又はA-2Fとする。ただし、横向姿勢を用いる場合、溶接技能者の資格はSA-2F及びSA-2H又はA-2F及びA-2Hとし、かつ溶接管理技術者はWES2級又は鉄骨製作管理技術者2級あるいは管理の実務を資格取得後3年経験した2級建築士の資格を保有していること。また、横向姿勢による完全溶込み溶接部の超音波探傷検査は全数とする。

4.鋼種と溶接材料の組み合わせによる入熱及びパス間温度の管理値は、2.の範囲内で「別記2 入熱・パス間温度」による。(400N級炭素鋼(STKR、BCR及びBCPを除く。)及び400N級炭素鋼(STKR、BCR及びBCPに限る。)の項による。)

http://www.jsa-center.co.jp/j_grade_besshi.htm

Rグレード

RグレードはJグレードよりは規模が大きくなります。

Rグレードも規模の制限があり小型の物件の場合にRに記載があります。

鉄骨工事ではRグレード以上の表記は少なく約50ton程度の案件に記載されていることがあります。

1.鉄骨溶接構造の5階以下の建築物(延べ床面積3,000㎡以内、高さ20m以下)とする。

2.400N及び490N級炭素鋼で板厚25mm以下の鋼材とする。ただし、通しダイアフラム(開先なし)の板厚は400N及び490N級炭素鋼で32mm以下とし、 ベースプレートの板厚及びGコラムパネル厚肉部の板厚は、「別記1 ベースプレートの板厚及びGコラムパネル厚肉部の板厚」による。

3.作業条件は原則として下向姿勢とし、溶接技能者の資格はSA-3F又はA-3Fとする。ただし、横向姿勢を用いる場合、溶接技能者の資格はSA-3F及びSA-3H又はA-3F及びA-3Hとし、横向姿勢による完全溶込み溶接部の超音波探傷検査は全数とする。

4.鋼種と溶接材料の組み合わせによる入熱及びパス間温度の管理値は、2.の範囲内で「別記2 入熱・パス間温度」による。(520N級炭素鋼の項を除く。)

http://www.jsa-center.co.jp/r_grade_besshi.htm

Mグレード

Mグレードになると中小物件に記載されていることがとても多くなります。

RグレードとMグレードでは出来る物件にかなりの隔たりがあります。

鉄骨工事では70ton~500ton程度の物件であればMグレード以上の表記がされていることが多いです。

1.鉄骨溶接構造の400N及び490N級炭素鋼で板厚40mm以下の鋼材とする。ただし、通しダイアフラム(開先なし)の板厚は400N及び490N級炭素鋼で50mm以下とし、ベースプレートの板厚、Gコラム及びSTコラムのパネル厚肉部の板厚は、溶接方法、鋼種及び板厚に応じた適切な予熱を行ったうえで溶接を行なうことにより40mmを超えることができる。

2.作業条件は下向及び横向姿勢とする。溶接技能者の資格はSA-3F及びSA-3H又はA-3F及びA-3Hとする。

3.鋼種と溶接材料の組み合わせによる入熱及びパス間温度の管理値は、1.の範囲内で「別記2 入熱・パス間温度」による。(520N級炭素鋼の項を除く。)

http://www.jsa-center.co.jp/m_grade_besshi.htm

Hグレード

Hグレードになると1000ton級や万ton級の鉄骨工事を請け負うことができます。

大型案件になるとHグレード以上の表記がされていることが多く、MグレードとHグレードにもかなりの隔たりがあります。

Hグレードになると工場規模も大きくなり逆に数十トンの案件はあまりやりません。

1.鉄骨溶接構造の400N、490N及び520N級炭素鋼で板厚60mm以下の鋼材とする。ただし、通しダイアフラム(開先なし)の板厚は400N、490N及び520N級炭素鋼で70mm以下とし、ベースプレートの板厚、Gコラム及びSTコラムのパネル厚肉部の板厚は、溶接方法、鋼種及び板厚に応じた適切な予熱を行ったうえで溶接を行なうことにより60mmを超えることができる。

2.作業条件は下向、横向及び立向姿勢とする。溶接技能者の資格はSA-3F、SA-3H及びSA-3V又はA-3F、A-3H及びA-3Vとする。

3.鋼種と溶接材料の組み合わせによる入熱及びパス間温度の管理値は、1.の範囲内で「別記2 入熱・パス間温度」による。

http://www.jsa-center.co.jp/h_grade_besshi.htm

Sグレード

Sグレードになると日本ではニュースに出てくる建造物などに携わることが多いです。

日本にも数社しかおらずSグレードになるとメーカーとタイアップして施工方法などの開発などをしたりもします。

Sグレードになるには審査も厳しく、工場規模や設備や資格が相当数必要になります。

1.全ての建築鉄骨溶接構造とする。

2.使用する鋼種及び溶接材料に適合した、適切な作業条件を自主的に計画し、適切な品質の鉄骨を製作できる体制を整えている。

http://www.jsa-center.co.jp/s_grade_besshi.htm
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この記事を書いた人

鉄鋼商社に勤務する営業マン。
鉄骨工事などを請け負い鋼材を扱って16年目。
鋼材を扱うと専門用語が多すぎて何をいっているかがわからなかった新人時代があり、そんな素人でもわかりやすいように解説します。
誰でもわかりやすく鉄骨工事のことをサクッと調べられるようなブログを運営していきます。

コメント

コメント一覧 (1件)

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