鉄骨工事で使う外法H形鋼とは

鉄骨工事では通常の梁はH形鋼を使用し、物件の規模や構造計算上で梁のサイズが決まってきます。

中小型の案件であれば一般的に鋼材店が在庫を行っているH形鋼を使用します。

材質などがSM材やSN材になった場合には在庫している鋼材店が少なく電炉メーカーにロール申し込みを行い手配をかけて納入して加工を行っていきます。

大型案件になってくると柱のスパンも長くなってきたり荷重も重くなったりして指定しているサイズで構造計算にNGが出るとサイズを大きくする必要がありました。

しかしそんなときには外法(そとのり)H形鋼を使用して強くする場合があります。

目次

外法H形鋼とは

外法H形鋼とはH形鋼のサイズが一定で厚みなどを変えて製造できるH形鋼です。

このため梁せいを変えることなく断面性能を向上することが出来るH形鋼なのです。

通常のJISのH形鋼であれば同じようなサイズがあったとしても内法が均一になっておりサイズと厚みが変わってきます。

JIS H形鋼 800x300x14x26 ⇒ 800-26-26=748(内法)
JIS H形鋼 792x300x14x22 ⇒ 792-22-22=748(内法)

このようにJIS H形鋼は内法を一定として作られておりフランジ厚を変えようとするとサイズ自体が変わってきてしまいます。

一方外法H形鋼は外法を一定に造られている為サイズをそのままにして厚みを変えることが出来ます。

外法H形鋼 800x300x14x22
外法H形鋼 800x300x14x25
外法H形鋼 800x300x14x28
外法H形鋼 800x300x14x32
外法H形鋼 800x300x16x22
外法H形鋼 800x300x16x25
外法H形鋼 800x300x16x28
外法H形鋼 800x300x16x32
外法H形鋼 800x300x16x36

このように外法を一定に保ってH形鋼を製造することができるのです。

しかし外法H形鋼800x300x14x22などのJISH形鋼などで代用できたりするので製造していない場合があるので製造しているサイズなどを確認しておく必要があります。

外法H形鋼は日本製鉄㈱、JFEスチール㈱で造られている

外法H形鋼は日本を代表する2つの高炉メーカーしか製造をしていません。

同じ外法H形鋼でもメーカーによって呼び方が違い、表記も違います。

日本製鉄㈱で外法H形鋼はHYと表記されます。
これはhyperbeam(ハイパービーム)の頭文字2文字を取ってあります。

JFEスチール㈱ではSHと表記されています。
これはSuper Haisrendo(スーパーハイスレンド)のSとHをとってあります。

この表記があった場合には外法H形鋼だというのを覚えておきましょう。

HYだから日本製鉄㈱に頼まなくてはいけないとは限らず、構造設計士が表記をどちらかにするだけのことなのでメーカー指定などの縛りが無ければHYと表記されていてもSHで見積りや手配を行うことはあまり問題ではありません。

このH形鋼は製造メーカーのカタログには、日本製鉄㈱は全556サイズのうち常時製造は245サイJFEスチールでは400サイズが記載されており同じくらいのサイズしか常時製造されていません。

外法H形鋼を使うメリット

従来のJISH形鋼は高さや幅はほとんど決まったサイズしか無く、同じサイズを使用したくても構造計算上耐えれないとなった場合にはサイズをワンサイズ大きくしないといけないといったことが起こりました。

その際にはBH(ビルドH)を使ったりして厚みのみを変えたりしていたのですが板の在庫などの有無で材料手配に時間がかかったり製造などにも時間がかかったりしていました。

またH800とH792サイズでは下フランジに食い違いが起こってフィラープレートで調節したりして加工手間もかかってしまいます。

そんなときに外法を一定にして厚みなどを変えられるH形鋼を日本製鉄㈱が1989年に生産を開始されました。

BHで今までは対応していたH形鋼も大量になればメーカーでロールするより時間がかかってしまい外法H形鋼でればBHよりは納期も早く安価で買うことができます。(JISH形鋼よりは高い)

よって鉄工所での加工手間や構造設計しの自由度などが加見されることによって外法H形鋼は使われるようになりました。

外法H形鋼のデメリット

外法H形鋼はサイズと厚みがとても多い種類ある為、万が一製作間違いなどが起こった場合に市中に存在しない可能性があります。

少量の間違いであればBHにて代用を行い製作を継続しますが、BHも製作に時間がかかる為、工場製作が一時出来ない可能性があります。

通常JISH形鋼であれば各都道府県に鋼材を在庫して販売している特約店が存在する為、日本中探せばよほど特殊な材質や規格でなければ取り寄せが可能です。

メーカーロールで2~3ヶ月程納品にかかってしまう。

電炉メーカーであれば1~2ヶ月程でロールを行い納品が可能ですが高炉メーカーの2社しか作っていない為発注時期を間違ってしまうと材料が製品として上がって来ずに1ヶ月平気で遅れることがあります。

東京や大阪などの首都圏の建築が忙しくなると納期が6ヶ月かかってしまうことだってあるので物件を受注する際にしっかり納期確認や先行発注が行えるかを確認してから工事にとりかかりましょう。

外法H形鋼は梁に使われることが多い為図面変更などがあって柱のスパンが変わってしまうと手配しているH形鋼が使えなくなってしまうので設計やゼネコンとの協議して発注をかけるようにしておきましょう。

まとめ

外法H形鋼は外法を一定にすることで厚みなどを変えることにより

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この記事を書いた人

鉄鋼商社に勤務する営業マン。
鉄骨工事などを請け負い鋼材を扱って16年目。
鋼材を扱うと専門用語が多すぎて何をいっているかがわからなかった新人時代があり、そんな素人でもわかりやすいように解説します。
誰でもわかりやすく鉄骨工事のことをサクッと調べられるようなブログを運営していきます。

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