鉄骨工事用語の紐付きとは

鉄骨工事業界では様々な用語が飛び交います。

もうすぐ新卒で建築業界に就職する人などは先輩や業者が話している用語を聞いて呪文のようで何が何だか分からないといったことがとても多くあります。

その中で今回は鉄鋼業界の用語だが建築業界全体で使う【紐付き】という言葉を解説していきます。

目次

紐付きとは

紐付きとは鉄鋼業界で使われる言葉でメーカーが鋼材を製造する時点で販売先や納入先などが決まっていることを紐付きといいます。

通常は独占禁止法(どくせんしんしほう)という法律があります。
(公平かつ自由な競争を促進するために、企業の不公正な行為を規制するもの)

今では競争で入札を行うのが当たり前になっているのですが日本では戦時体制強化に伴い1930年代後半から戦後復興期(1940年~1950年)にかけて統制経済が実施されました。

統制経済とは日中戦争(1937年~)や太平洋戦争(1941年~)の影響で軍事物資の供給を優先するため、日本政府が鉄骨や石炭などを重要資源を厳しく管理することです。

その為鉄鋼は需要産業に割り当てられて市場に自由に取引することができませんでした。

戦後にも日本は物資不足に直面して政府が経済復興の為に物資を管理しました。

鉄鋼などは政府の管理のもと、特定の企業や産業に割り当てられるといった仕組みになっていました。

鉄鋼は割当証明書によって販売されており証明書を提出して出荷をうけその証明書提出の需要家に配給されていました。

価格ともメーカー⇒問屋⇒需要家と一貫して決められており政府の許可なく自由売買が出来ないことを紐付きと呼んでいました。

戦後になるとかかる統制の廃止(1950年頃)自由価格売買に移行しましたが主要メーカーは戦前の販売カルテル時代に行っていた「先物取引」や「建値販売制」を復活させて証明書の発行はいらなくなったものの大口需要家に直送する為に申し込みの書をとって販売をしていました。

先物取引:先物取引とは、将来の特定の期日に、あらかじめ決めた価格で商品や株価指数などを売買することを約束する取引です。
建値販売制:建値販売制とは、メーカーが卸売業者や小売店に販売価格を指定する制度です。メーカー希望小売価格とも呼ばれます。

その申し込みも問屋を通じてメーカーに連係されることで決まった販売先が決まっていることにより紐付きという言葉を使い取引を行っていました。

鉄骨工事業界でも紐付きを使う

鉄鋼業界のみならず建築工事でも紐付きを使います。

施主からの業者の指定や設計事務所からの業者指定、鉄工所の業者指定など決まった経路で発注するようになっていることを鉄鋼業界の用語を似ている為紐付きと呼びます。

例えば設計事務所に設計協力を行って鉄骨工事業者を決めて発注してもらうことや鋼材のメーカー指定などを行い紐付き案件とるすことが往々にして存在します。

これは鋼材のみならず杭工事や屋根、壁、建具なんかも決まっている場合があります。

このような時は全て紐付きを呼び価格競争ができない状況になります。

鉄鋼業界で使われる紐付きですが建築業界全体で使う用語なのです。

紐付きのメリット、デメリット

一言で紐付きと言ってもメリットとデメリットが存在します。

メリット
必ず発注が来る
価格競争が無い

デメリット
価格競争が出来ない
仕入れ交渉があまり出来ない

紐付きは業者の選定が行われている為、営業力や企業努力などで価格を抑える必要がありません。

ある程度の利益が出る値段で受注が可能なのですがこの価格競争が無いせいで予算などを抑えたい元請けなどは仕入れ価格が上がり最終的には高い建物を購入せざる負えなくなってしまうリスクがあります。

紐付きにも強さがある

基本的には競争入札で物件を受注していく形になるので紐付きをいっても政府が介入するわけではなく、誰かがこの業者を使ってほしいといっただけで受け取り側が紐付き案件として発注を行うケースなどもあります。

どの業者も紐付けをしたがる傾向があり建築工事では施主や設計事務所に業者の推薦を上げてもらったりするが実際は価格を抑えたいといったことがメインになり、大して強固な紐付き案件では無かったなどが散見します。

そんな場合は価格競争を行い受注していく形になります。

結局は図面にメーカー指定の織り込みをしていない限りは値段が下がらないデメリットを嫌い競争入札させることのほうが多いです。

まとめ

建築業界で営業を行う上で情報をとても大事です。

必死に追いかけて見積りを行っていたとしても蓋を開けてみたら紐付き案件でどれだけ価格を安く頑張っても無駄な労力だったなんてこともザラにあります。

紐付きといった言葉は建築業界で様々な人が使い、どのような紐付き案件なのかを知る必要も充分に必要です。

特に鉄鋼業界は昔の歴史の流れからこのような紐付きが多くあります。

情報をしっかり取って紐付き案件に絡んでいきたいものですね。

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この記事を書いた人

鉄鋼商社に勤務する営業マン。
鉄骨工事などを請け負い鋼材を扱って16年目。
鋼材を扱うと専門用語が多すぎて何をいっているかがわからなかった新人時代があり、そんな素人でもわかりやすいように解説します。
誰でもわかりやすく鉄骨工事のことをサクッと調べられるようなブログを運営していきます。

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