鉄骨工事材料につかうTSCとは

鉄骨工事の柱材に使うコラムの名称で電炉メーカーの東京製鉄㈱が製造して販売している鋼材をTSCと呼びます。

Tokyo Steel Column(トウキョウ、スチール、コラム)の頭文字を取ってTSCと名づけてあります。

Tokyo Seitetsu Column(トウキョウ、セイテツ、コラム)と覚えている人も多くいるようですがSはスチールの頭文字からとっていると覚えておきましょう。

コラムと言えばBCRが一般的でBCRに使用する鉄板は全て高炉メーカーでしか作ることが出来ませんでした。

電炉メーカーでBCR同等品を始めて作った商品になります。

BCRを製造するメーカーは日本には下記のみになります。

  • JFE溶接鋼管 (株)
  • JFEスチール (株)
  • ナカジマ鋼管 (株)
  • 日鉄建材 (株)
  • 丸一鋼管(株)
目次

TSCとBCRの違い

呼び名とメーカーと大事認定番号くらいの違いでTSCはBCRとほぼ同等品になります。

建築確認申請が下りている物件に対してもBCRからTSCへの変更は軽微な変更として承認されてることが多いです。

BCRとTSCの比較表は東京製鉄㈱のサイトから閲覧することができます。

BCRもTSCも同じ国土交通大臣認定品なのです。(国土交通大臣認定番号MSTL-0385)

ではなぜBCRという名称にすることが出来ないのでしょうか?

日本鉄鋼連盟という一般社団法人の会員になっている一部のメーカーのみがBCRという名称のコラムを製造することができます。

この会員以外のメーカーは同じものを製造したとしてもBCRと名乗って販売することが出来ないのです。

阪神大震災以降に建築基準法の規制が厳しくなりBCRという規格が作られてそれ以降は上記のメーカーのみの製造販売で認知度が高まっていきました。

材料の品薄や工期の問題などから電炉メーカーの東京製鉄㈱が同等品を作り販売していました。

しかし元々認知度が少なく、軽微な変更をするものめんどくさいといった人が多く認知度は上がりません。

このような背景からTSCの認知度はあまり多くありません。

認知度が少ないとわからないものを使用するのは気が引けてしまうのが人間というものです。

しっかり調べて認知できれば問題ない商品なのです。

TSC295を使うメリット

SDGsに対応している
価格が安い
材料が品薄に対応できる

SDGsに対応している

2015年からSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を国連加盟国が採択して作られた17の目標の一部を担っています。

日本のみならず脱炭素への意識はとても強く感じられ様々な企業が取り組みを行っています。

高炉メーカーよりは電炉メーカーがCO2排出量が圧倒的に少なくSDGsに対応していると言えます。

価格が安い

現在高炉メーカーの鋼材と電炉メーカーの鋼材価格にはとても大きな開きがあります。

地域や相場はあれどBCRとTSCの価格差はkg/20円~30円の違いがあります。

鉄骨工事での柱というのは建物の多くを割合を占めます。

その金額が少しでも下がることで工事金額が下がるといったメリットがあります。

またサイズエキストラもBCRよりも安い為大きな厚みが厚くなった場合にBCRと比較すると金額が安いことがわかります。

BCR 板厚t16 (ベース+8円)  TSC 板厚t16 (ベース+2円)
BCR 板厚t19 (ベース+15円)  TSC 板厚t19 (ベース+4円)
BCR 板厚t22 (ベース+20円)  TSC 板厚t22 (ベース+6円)

材料品薄に対応できる

工事を行ううえでBCRというのはとても品薄になりやすい材料なのです。

高炉メーカーも大型案件が続くと生産に時間がかかり、材料納品までの納期がかかってしまうことが頻繁に起こってしまいます。

だからといってTSC指定にしてしまうと東京製鉄㈱でBCR代用品を全てまかなえるわけではありません。

設計図にBCRとTSCどちらにもチェックを入れてあれば選択肢が増えてもしもBCRが無かった場合にはTSCで対応することができるし、逆にTSCが品薄になった場合にもBCRで対応することが可能になります。

このように同等品である以上どちらでも可といった状態にしておけば材料が入らないために工期が遅れるといったことが極力防ぐことができます。

TSC295を使うデメリット

認知度が低い
大きなサイズが作れない
BCRより生産量が少ない

認知度が低い

先ほども書いたようにTSCは認知度が低い為、どのような品物かわからないので言われただけで変更不可という人も多いのが現状です。

設計仕様書にもTSCでも可といった記載をしてある図面はごくわずかで、建設会社もこんな材料があることを知らない人の方が多いので変更を行う労力を嫌って結局全国への流通量が少ないといったデメリットもあります。

大きなサイズが作れない

TSCは最大サイズt22x400x400までのサイズしか作ることができません。

少し大きな案件になると□-500×500や□-550×550のサイズなどがザラに出てきます。

400角以上のサイズになると必然的にBCRもしくはBCPの材料になってしまうのでBCRのサイズが全てTSCに代用できるわけではないので覚えておきましょう。

BCRより生産量が少ない

TSCは東京製鉄㈱田原工場でのみ生産を行っています。

常にTSCのみを作っているのではなく様々な形状の鋼材を生産しています。

TSC指定の物件という状態になってしまうと逆にTSCが日本中で品薄になってしまう可能性もあります。

TSC指定ではなくどちらでもいいといった状態にしてもらうのが物件をスムーズに進める方法なのです。

まとめ

TSCは電炉メーカーで作っているBCR同等品のコラムです。

今は認知度が低く、TSCと使用するとなると変更不可にされることも多くありますが製品としてBCRに劣る商品では無いため今後は認知度も高まっていくでしょう。

鋼材メーカーというのは時代によってより良い鋼材を作って販売しています。

価格的メリットであったり、加工しやすい鋼材など様々な企業努力で生産しています。

TSCという鋼材の存在を知っていれば未知のものではなくまっとうな鋼材だということがわかるので鋼材知識として覚えておきましょう。

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この記事を書いた人

鉄鋼商社に勤務する営業マン。
鉄骨工事などを請け負い鋼材を扱って16年目。
鋼材を扱うと専門用語が多すぎて何をいっているかがわからなかった新人時代があり、そんな素人でもわかりやすいように解説します。
誰でもわかりやすく鉄骨工事のことをサクッと調べられるようなブログを運営していきます。

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